(オリジナルイラスト)
数限りない沢山の動物がどこからやってきたのか、それは謎だった。動物たちが町の本当の支配者だったし、また眼でみる限り彼らもそう思っていた。私がベッドに横たわると、まるで大都市にいるかのように、往来の足音やひずめの音がいつまでも聞こえてきた。らくだや野生のロバが街じゅうをかっぽしていて、それらをからかうのは危険だった。何よりも不気味なのは、動物の蔓延とともにはじまったある謎めいた事態の推移であって、それは、絶えまなく、ますます急速に進み、夢の国の完全な没落の原因になった。種々様々の素材でできた建物、多年にわたり集められた物件、この国の支配者がお金をつぎこんだすべてのものが、絶滅の運命に捧げられた。どこの壁にも亀裂が現われ、木材は腐り、鉄はさびつき、ガラスはくもり、その他さまざまな素材が崩れおちた。
夢の国はますます腐敗し没落していった。殺人、集団自殺、強盗、流血騒ぎが日常的に起こり、街は汚物と廃物で溢れ、「この世の終わり」のときがやってきた。小説の主人公はこの夢の国からを出ることも出来ずにじっと耐えるしかなかった。
(白水社 幻想小説 裏面 アルフレート・クビーン 第3部 第3章 地獄)
(ボールペン、色鉛筆、水彩画 縦25㎝×横18㎝)
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