2020年3月30日月曜日

絵と詩 水族館屋敷


(オリジナルイラスト)


森の小道を自転車で散歩していたら、
奇妙な建物を見つけた。
レンガ作りの家で、魚の絵が描いてあるのだ。
いや違う。ほんものの魚だ。
この家は水族館なのだ。
誰が建てたのだろう。
階段に座って一日中観ていた。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)








2020年3月18日水曜日

空飛ぶ公衆電話

 その公衆電話は国道沿いの公園のそばにあった。
 ずいぶん汚れていてペンキがところどころ剥げていた。
 でも1か月前まではここには草しか生えていなかった。無断で誰かが置いたのだ。
 ある日、通行人が電話をかけにきた。
「よかった、スマホの電池が切れたんだ」
 ドアを開けて受話器を取り、お金を入れてダイヤルを回した。
 突然、公衆電話がガタガタ揺れはじめた。
「な、なんだ。これは」
 エレベーターに乗ったような感じだった。すいーっと公衆電話ごと空の上に吸い込まれた。
 ガラスの外を見た。近くに雲が浮かんでいた。振動は収まったが、公衆電話は通行人を乗せて東の方へ飛んで行った。
 山を越えて海が見えてた。
「すごい、まるで飛行機だ」
 海の上を飛んでいると、またガタガた揺れはじめた。
「たいへんだ。高度が下がっていく」
 料金箱にランプが埋め込まれていてピカピカ光っている。
 無意識に100円硬貨を入れた。助けを呼ぶためだった。
 するとまた高度が上がりはじめた。ゆれも収まった。
「そうか、お金を入れると飛び続けるんだ」
 一日中飛んでいると、やがて公衆電話は帰りはじめた。町が見えてきた。もう夜になっていた。
 公衆電話は公園のもとの場所へ着陸した。
「やれやれ、でも不思議な旅行が出来た。みんなに教えてやろう」
 ある日友達を連れてやってきたが、そこに公衆電話はなかった。
「どこへいったんだろう」
 ある日この公衆電話はとなり町の小学校の近くに立っていた。
 通行人がやってきた。
「こんなところに公衆電話なんてあったかな」
 中を覗いてみた。
「せっかくだ、実家に電話をかけよう」
 お金を入れてダイヤルを回した。
 ガタガタと公衆電話が大きく揺れはじめた。
「なんだ、どうなってるんだ」
 通行人を乗せて空へ飛びあがった。そして西の方へ飛んで行った。
  山のふもとに大きな湖があった。
 公衆電話は、急降下してバシャンと大きな音を立てて湖の中へ潜っていった。
 まるで潜水艦だ。湖の中を走り回ってまた空の上に登って行った。
「驚いた。水の中でも平気なんだ」
 丸一日、空飛ぶ公衆電話に乘って空の散歩を楽しんだ。そして夜になって帰ってきた。 
「いやあ、面白かった、みんなに教えてやろう」
 その噂は町中に広まった。
「一度乗ってみたいな」
 そんなことをいう人が多くなった。
 みんな不思議な公衆電話を捜し始めた。でもなかなか見つからなかった。
 町はずれに一人の発明家が住んでいた。いつも地下の実験室にこもって何か作っていた。地下室はまるで工場だった。いらなくなった古い公衆電話が部屋の隅にたくさん置かれていた。
 発明家は数年前からこの作業に没頭していた。つい先日、第1号を完成して、飛行実験を繰り返していたのだ。
「さて、テスト飛行は無事に終わった。30台も作れば相当の稼ぎになる。自動販売機のように毎日稼いでくれる」
 発明家は昔からUFOの研究をしていたのだが、あるときそれを利用して空飛ぶ公衆電話の制作を思いついたのだ。
 半年もすると、空飛ぶ公衆電話は予定通り30台に増えた。
「さて全国に設置しよう」
 トラックを借りてきて、公衆電話をあちこちに置いた。
 発明家が予想したとおり、公衆電話は町の人に使われて相当の売り上げをあげた。でも心配なことがあった。
 故障して墜落したらどうしよう。考えながらいいことを思いついた。
「緊急用のパラシュートを取り付けよう。これだったら万一のとき大丈夫だ」
 すべての公衆電話にパラシュートを取り付けた。
 問題が解決したので、それからも増産していろんな町に設置し、数年間暮らしに困らないくらい大儲けをした。でもある日発明家は逮捕されてしまった。
 航空法違反と違法設置物違反の罪だった。
 刑期が終わるまで、みんな乗れなくなった。


(オリジナルイラスト)


(未発表童話)






2020年3月8日日曜日

絵と詩 芸術家の家


(オリジナルイラスト)


森の中に青い屋根の家がある。
その家に芸術家が住んでいる。
毎朝、散歩から帰ってくると、
楽器を練習し、絵を描くのだ。
ときどきピアノの鍵盤の道を行ったり来たりしながら
作曲のアイデアなんかも考える。
これまで誰もこの家にやって来た人はいない。
一度この家を訪問してみたい。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)