2021年2月28日日曜日

絵と詩 小説 フランケンシュタイン3

 

(オリジナルイラスト)


 わたしは、宿の廊下をしばらく行ったり来たりしながら、敵が身を潜めていそうな物陰を端から調べてまわりました。そのときでした。甲高い悲鳴が聞こえたのです。血も凍るような悲鳴でした。エリザベスがいる部屋からでした。わたしはエリザベスのいる部屋に駆け込みました。
 エリザベスは放り投げられたような格好で、ベッドに横になっていました。息絶え、ぴくりとも動かない姿で。首を垂れ、蒼ざめて苦し気な顔は半ば髪の毛に隠れていました。
(メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」)より

(ボールペン・水彩画 縦25㎝×横18㎝)



2021年2月21日日曜日

絵と詩 小説 フランケンシュタイン2

 

(オリジナルイラスト)


 わたしはスコットランドの北の高地をさらに北上し、オークニー諸島のなかでも本土からいちばん遠い島を仕事場にしました。島には全部で三軒の、見るからにみすぼらしい小屋しかなく、そのうちの一軒が空いていましたから、そこを借りることにしました。
 ある日の夕方、実験室で座っていたときのことです。はっとして耳をそばだてたのは、海岸のすぐ近くで櫂が水をかく音がしたからです。小屋の近くに誰かが上陸しようとしているようでした。
 数分後、小屋の扉が軋みをあげました。誰かがそっと開けようとしているのです。まもなく廊下を歩いてくる足音がして、部屋のドアを開き、恐れていたとおり、あの悪魔が姿を現しました。
 (メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」より)

(ボールペン、水彩画 縦25㎝×横18㎝)



2021年2月10日水曜日

絵と詩 小説 フランケンシュタイン

 

(オリジナルイラスト)


 おれは通りすぎようとする子どもを捕らえ、自分のそばに引き寄せた。子どもはおれの姿を見たとたん、両手で目を覆い、悲鳴をあげた。その手を無理やり引き離して、おれは言った。「坊や、大丈夫だ。何もしないから、これから話すことをよく聞きなさい」
 男の子は激しくもがき、「放せ!」と叫んだ。
「坊や、お父さんにはもう会えないんだよ。おれと一緒に来るんだから」
「放せ、化け物!パパは偉いんだからな。フランケンシュタインっていうんだらな」
「フランケンシュタインだと? そうか、おまえはおれの敵の一族なのか。おれが永遠の復讐を誓ったあの男の。ならば、おまえがおれの最初の生贄だ」

            (メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」より)

(ボールペン、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)