2020年5月29日金曜日

絵と詩 白鳥のお城


(オリジナルイラスト)


王様は山の上に巨大な白鳥のお城を建てた。
近い将来、この国が恐ろしい疫病に侵される夢を見たからだ。
けれども市民や大臣たちは、まったく興味を示さなかった。
「王様の道楽がまたはじまった」
そういってみんな馬鹿にしたように見物していた。
数年後、王様が予言したように国外から疫病が入ってきた。
市民たちは疫病で次々に倒れていった。
みんな感染を恐れてじっと家の中に閉じこもっていた。
ある日のこと、空から巨大な白鳥が現れて、ロープを家々に降ろして
次々に市民を助けていった。それは「ノアの箱舟」のようだった。
空を見上げながら市民たちは口々に叫んだ。
「あれは王様じゃないか」
白鳥の頭の窓に姿が見えたからだ。
こうしてたくさんの市民の命が救われた。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)






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