2020年2月8日土曜日

絵と詩 山茶花の静物画


(オリジナルイラスト)


久しぶりに描いた花の静物画です。
山茶花に見えるでしょうか。
描いてる間にずいぶん花が散りました。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)




2020年1月31日金曜日

鳩時計屋敷の作曲家

 森の中に風変わりな屋敷があった。大きな木に鳩時計がぶら下がっていて誰か住んでいるのだ。針もちゃんと動いている。森の動物たちはみんなそれを見て時間を知っていた。
 夜になると鳩時計屋敷に火が灯る。中でギターやマンドリンの音色が聴こえてくる。
 ある日の夕方、遠い土地から旅人がこの森へやってきた。
「変な家だな。明かりがついているから、誰か住んでいるのだ」
 旅人は今夜泊めてもらうことにした。
「すみません。すっかり暗くなって道がわかりません。泊めてもらえますか」
 すると屋敷のドアが開いて、男が出てきた。
「どこからやってきたんだ。たいしたもてなしはできないが、よかったら入ってくれ」
 親切な男だった。屋敷の中は居心地がよかった。ベットもあるし、台所もある。机の上に楽器が置いてあり、楽譜が山のように積まれていた。男は夕飯を作ってごちそうしてくれた。
 男は作曲家だった。でも曲が売れないためにこの鳩時計屋敷の仕事をしているのだ。
 毎日の仕事を話してくれた。普段は時計の歯車に油を差したり、時間に狂いがないか調整したりするのだが、一番骨が折れるのは、おもりを引き上げる作業だった。この仕事は大変な力仕事だった。十日に一度はやらないといけない。それらの仕事が終わると、作曲の仕事をするのだ。でもこの森の中ではだれも楽譜を買ってくれない。
「じゃあ、お礼に、あなたの書いた曲を世間に広めてあげましょう」
「え、本当かい」
 男は自分の書いた曲を弾いてくれた。なかなか印象的な曲だった。旅人はこれらの曲ならいろんな町の楽譜店で売れると思った。
 朝になり、旅人は出て行った。リュックサックにたくさんの楽譜を入れていた。
 旅人がいなくなると、男はいつものように鳩時計屋敷の仕事をはじめた。いつも油に汚れて仕事をしながらいつか自分の曲があちこちの音楽ホールで演奏されるのを夢見ていた。
 ある日、旅人は町へやってきた。町の公園で楽譜を取り出してリコーダーで吹いていると、楽譜屋の主人が偶然通りかかった。
「なかなか魅力的な曲じゃないか。誰が書いた曲だ」
 旅人は鳩時計屋敷の作曲家のことをいった。でもぜんぜん聞いたことがない人物だった。
「その楽譜を少し買ってあげよう。お店にプロの演奏家が楽譜を買いに来るので、その楽譜も売れるだろう」
 楽譜屋がいったように演奏家たちは、無名の作曲家の楽譜を眺めて気に入り買っていった。
 ある日、町のコンサートへ演奏を聴きにやってきた音楽好きな資産家が、無名の作曲家の作品を聴いて大いに満足した。
「どこに住んでいる人かな。一度会って話がしたい」
 演奏家から楽譜屋の場所を教えてもらって、ある日出かけて行った。
「わしはよく知らないんだ。旅人から聞いただけだ」
「その旅人はどこにいるんだ」
「町の公園の後ろの木の下で昼寝をしている」
 資産家は公園へ行って旅人から作曲家の家を教えてもらった。
 ある日資産家は、車で森へ行ってみた。森の中に鳩時計の変わった家があった。窓が開いていたので声をかけてみた。
「おおい、いるか、おれだ」
 作曲家の男は外で声がするので窓から顔を出した。
「いやあ、お前か、久しぶりだな」
 二人は若い頃、同じ音楽学校の同級生だった。もう二十年近く会っていなかったので、久しぶりに再会して二人とも喜んだ。
 作曲家の男は家の中に招待し、コーヒーを入れて飲みながら思い出話にふけった。
 資産家は、もともと家がお金持ちだったので、暮らしは裕福だったが才能がなく、音楽の道をあきらめたのだ。反対に作曲家は才能があったのだが、ずいぶん貧乏だったので途中で退学したのだった。学生の時にお互いに曲を見せ合っていたので、演奏会で曲が流れたとき、もしやと思ったのだ。
「作風がどこかで聴いたことがあるので、すぐにお前の曲だと分かった。ずいぶん書いてるみたいだな」
「ああ、でも暮らしはあいかわらず貧乏だ」
 そんなことで、資産家は昔の友人の曲を世間に広めようと考えた。
「お金はおれが出してやるから、ここを出て町で活動すればいい」
「本当か、それはありがたい、じゃあ、あとがまを捜すから少しまってくれ」
 話が決まって、翌月に町へ引っ越すことになった。資産家の援助で作曲家の曲はあちこちで演奏されるようになった。


(オリジナルイラスト)


(未発表童話) 




2020年1月21日火曜日

絵と詩 ネクタイとネクタイピン


(オリジナルイラスト)


明日はギター演奏会です。
どんな色のネクタイを着けようかな。
ネクタイピンも選ばないと。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)






2020年1月10日金曜日

絵と詩 伸びすぎた豆のつる


(オリジナルイラスト)


冬に種をまいた豆が
春になってずんずん大きくなった、
旅行に出かけて帰ってくると驚いた。
電線までつる伸びている。
これだけたくさん豆ができたので
近所の人にもわけてあげよう。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)





2019年12月30日月曜日

絵と詩 観客ひとり


(オリジナルイラスト)


冬の寒い日、
町へやってきたギター弾きが
公園のベンチに座っていると、
犬が一匹近寄ってきた。
人の姿は見えない。
「今日も稼ぎなしか」
でもせっかく来てくれた
ただひとりの観客のために
静かにギターを弾きはじめた。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)






2019年12月21日土曜日

クリスマスの重労働

「いやあ、今夜も寒いな。雪が降りそうだ」
 そういっているのは、町の教会の塔にぶら下がっている鐘です。ずいぶん古い教会で鐘も相当に古かったのです。
 もうすぐクリスマスなので町の商店街にはクリスマスツリーがキラキラと輝いています。でも昔と比べたら営業している店はほんのわずかです。
「町の風景もずいぶん変わったな。昔はいろんな商店がたくさん並んでいたのに、いまじゃ、ゴーストタウンだ」
 鐘がいうようにこの町の商店街は人通りが少ないのでした。
 深夜のことです。冷たい風が吹いていました。
 ギーーイ、教会の扉を誰かが開ける音がしました。
 眠っていた鐘は目を覚ましました。
「こんな夜中に誰だろう」
 扉を開けて入ってきたのは、二人のホームレスでした。あまりに外が寒いので黙って入ってきたのです。
「よかった。今夜はここで泊まろう」
「ずいぶん静かだな」
 二人は小声で話しています。
「せっかくこの町で仕事をみつけようと思っていたのにどこの店も閉店だ」
「これじゃ、正月に餅も食えないな」
 二人のお腹がグーとなりました。しーんと静まり返った教会の中は別世界です。ステンドグラスがとてもきれいで、まるでお城のようです。
「何か食べるものないかな」
「あるわけないさ。泊まれるだけでありがたいよ」
 いいながら二人は長椅子に座ってただぼんやりしていました。
 二人がウトウトしていたとき、うしろからポンポンと誰かが肩を叩きました。
「あなたたちはここで何をしてるのですか」
 うしろに立っていたのは白髪頭の神父さんでした。
「申し訳ありません。外があまりに寒いので中へ入らせてもらいました」
 神父さんに怒られると思ったのですが、
「そうでしたか、お腹が減っていますね。待っててください」
 そういって神父さんは隣りの部屋へ行くと、食パンと赤ワインを持ってきてくれました。
「これを召し上がりなさい。温まりますよ」
 二人は喜んで食べました。
「ありがとうございます。感謝します」
 神父さんはにっこり笑いながら、
「どうですか、食事を差し上げたのですから、私の願いを聞いてくれますか」
「どんなことでしょう。わたしたちに出来ることならなんでもしますよ」
 神父さんはうなずきながら、
「この教会はずいぶん古くて、あちこちガタがきています。床はギーギー鳴るし、壁も剥がれてずいぶん汚れています」
「そうですか、じゃあ修理をしますよ」
「お願いします。大工道具は倉庫にあります。クリスマスが来る前に直したいのです」
 さっそく二人は作業をはじめました。
 ギーギー鳴る床と壁の張り替えをやりました。
 作業が終わったのは明け方でした。
「神父さん、修理がおわりました」
「ご苦労さまでした。それじゃ、祭壇の床もお願いします」
「まだ傷んだところがあるんですか」
「はい、ずいぶん古い教会ですから」
 二人は作業が終わってほっとしたのですが、また神父さんに頼まれたのでやることにしたのです。
 カタン、ガタン、トントントントン、二人は汗を流しながら働きました。
 夕方、作業はおわりました。
「ありがとうございます。音がしなくなりました。お腹が減ったでしょう」
 神父さんはまたワインと食パンを持ってきてくれました。
 二人はすぐにたいらげました。
「神父さん、作業も終わったので、これでおじゃまします」
 ところが神父さんは、
「まだやってもらうことがあります。ステンドグラスを磨いてください。何年も磨いてないのでほこりがたまっています」
 二人はだんだん疲れてきたのですが、食べ物をもらったので仕方なくやることにしました。
 ゴシゴシ、ゴシゴシ、ガラスを磨きながら、二人は小声ではなしました。
「ワインと食パンもらっただけで、ずいぶんこき使われるな」
「これだったら、ビルの窓ふきのバイトの方が賃金がいいな」
「クリスマスまであと何日だっけ」
「あと二日だ」
「じゃあ、辛抱してがんばるか」 
 二日後、クリスマスイヴになりました。
 二人が教会から出て行こうとしたとき、神父さんがやってきました。
「忘れていました。塔の鐘のサビを落としてください。いい音がしません。ロープも取り換えてください」
「え、まだやらないといけないんですか」
「作業をしてくれたら、ワインと食パンのほかにハムも付けてあげますよ」
 せっかく教会から出て行こうと思っていた二人は、がっかりしました。
「やれやれ、とんだ教会へきてしまったな」
 二人はぶつぶつ文句をいいながら作業をはじめました。
 夕方、作業が終わると、神父さんがやってきて、
「これが最後です」
といって、教会の外のモミの木にクリスマスツリーを飾らせられました。
 二人はくたくたになって作業をやりました。
 クリスマスがやってきました。
 すっかり教会の中はきれいになりました。塔の上の鐘もぴかぴかに磨かれてごきげんです。
「さあ、信者さんを呼びましょう」
 神父さんは、取り換えられた新しいロープを握って、カランコロンと町中に響くように鐘を鳴らしました。
 鐘の音は、重労働ですっかり疲れてこの町から出て行く、二人のホームレスの耳にも聴こえてきました。


(オリジナルイラスト)


(未発表童話)





2019年12月10日火曜日

絵と詩 羽の生えたケーキ


(オリジナルイラスト)


村のケーキさんは忙しい。
もうすぐメリークリスマス
朝からケーキ作りに追われて
寝る暇もない。

村のあちこちから注文が殺到。
ひとりで作っているのでああ忙しい。
ところで雪は大丈夫か。
去年は大雪でずいぶん苦労した。

そこで思いついたのがケーキに羽をつけこと。
ラジコン式の羽だからどこへでも配達できる。
大雪が降っても困らない。 
出来たケーキが次々に空へ飛んでいく。
ぷんぷん甘い匂いをさせて。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)