2021年8月28日土曜日

絵と詩 花火と夜釣り

 

(オリジナルイラスト)


今年の夏ももう終わり。
海辺では恒例の花火大会が行われた。
すごい爆音とともに次々に打ち上げられる花火は
暗い夜の海も昼間のように明るくする。
夜釣りを楽しむ人たちも
海の中の魚たちもみんな花火の美しさに驚いている。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)



2021年8月22日日曜日

絵と詩 風鈴と西瓜

 

(オリジナルイラスト)


今日も暑い日だ。
部屋で絵を描いていると
スイカが食べたくなってきた。
庭ではセミの声が賑やかだ。
風が吹いてきた。
こんな日には少しの風でもありがたい。
風鈴の心地よい音を聴きながらスイカを食べた。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)




2021年8月18日水曜日

絵と詩 美しい村 堀辰雄

 

(オリジナルイラスト)


 西洋人はもうぽつぽつと来ているようですが、まだ別荘などは大概閉ざされています。その閉ざされているのをいいことにして、それにすこし山の上の方だと誰ひとりそこいらを通りすぎるものもないので、僕は気に入った恰好の別荘があるのを見つけると、構わずその庭園の中へはいって行って、そこのヴェランダに腰を下ろし、煙草などをふかしながら、ぼんやり二三時間考えごとをしたりします。
 たとえば、木の皮葺(かわぶき)のバンガロオ、雑草のおい茂げった庭、藤棚(その花がいま丁度見事に咲いています)のあるヴェランダ、そこから一帯に見下ろせる樅や落葉松の林、その林の向うに見えるアルプスの山々、そういったものを背景にして、一篇の小説を構想したりなんかしているんです。なかなか好い気持です。
 ただ、すこしぼんやりしていると、まだ生れたての小さな蚋(ぶよ)が僕の足を襲ったり、毛虫が僕の帽子に落ちて来たりするので閉口です。しかし、そういうものも僕には自然の僕に対する敵意のようなものとしては考えられません。むしろ自然が僕に対してうるさいほどの好意を持っているような気さえします。
 僕の足もとになど、よく小さな葉っぱが海苔巻きのように巻かれたまま落ちていますが、そのなかには芋虫の幼虫が包まれているんだと思うと、ちょっとぞっとします。けれども、こんな海苔巻のようなものが夏になると、あの透明な翅(はね)をした蛾になるのかと想像すると、なんだか可愛らしい気もしないことはありません。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)




2021年8月12日木曜日

絵と詩 コヘレトの言葉 太陽の下、新しいものは何ひとつない。

 

(オリジナルイラスト)


太陽の下、人は労苦するが、
すべての労苦も何になろう。
かつてあったことは、これからもあり、
かつて起こったことは、これからも起こる。

神は人間をまっすぐに造られたが、
人間は複雑な考え方をしたがる。

私の心は知恵と知識を深く見極めたが、熱心に求めて知ったことは、結局、知恵も知識も狂気であり愚かであるに過ぎないということだ。
知恵が深まれば悩みも深まり、知識が増せば痛みも増す。
見よ、どれも空しく
風を追うようなことだった。
太陽の下に、益となるものは何もない。

私は知った。
人間にとって最も幸福なことは
喜び楽しんで一生を送ることだ。
さあ、喜んであなたのパンを食べ、
気持ちよくあなたの酒を飲むがよい。
何によらず手をつけたことは熱心にするがよい。
いつかは行かなければならない陰府(よみ)には
仕事も企ても、知恵も知識も、もうないのだ。

神を畏れる(おそれる)人は、畏れるからこそ幸福になり
悪人は神を畏れないから、長生きできず
影のようなもので、決して幸福にはなれない。

すべてに耳を傾けて得た結論。
「神を畏れ、その戒めを守れ。」
これこそ、人間のすべて。

(旧約聖書 コヘレトの言葉より)




2021年8月7日土曜日

絵と詩 理髪店

 

(オリジナルイラスト)


月に一度は理髪店へ行く。
夏はエアコンが効いて涼し、髭剃り中の昼寝も最高だ。
耳掃除もしてくれし、肩もほぐしてくれる。
家の中と比べたら別世界。
最後に「何かつけますか」と必ず聞かれるから
「ヘアークリームをお願いします」
と答える。
プーンといい匂いがして店を出て行く。

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)